051152 ランダム
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銀の月 蒼の風 黎明の海

銀の月 蒼の風 黎明の海

2.組み分けの儀

蒼月は先程の『月の雫』を首から下げていた。『月の雫』は蒼月の胸元で

青白い光を発している。それは、暖かいような冷たいような不思議な

感じだった。


「おぉ、相変わらず綺麗じゃの」

「当たり前だ。私の大切な宝だからな」

「ふむ。それにしても、その格好で行くのかの?」


 ダンブルドアは蒼月の姿をじっと見て言う。蒼月は、真っ黒で長いローブ

を着ていた。明らかに、校則違反である。しかも、髪と眼の色まで

変えてある。


「あれは私には似合わない。私のことは特待生とでも言っておけば

 良いだろう」

「おぉ、頭が良いのぅ。そうしよう。特待生の証のワッペンも付けてみては

 どうかの?」

「いいな。だとしたら、ワッペンは『九尾の狐』だな」


 蒼月は、ワッペンを頭の中で思い浮かべながら指を鳴らす。すると、蒼月

の目の前に一つのワッペンが現れた。そのワッペンは、たった今、蒼月が思

い浮かべたものと同じ物。


「流石じゃの。さて、そろそろ生徒が着く頃じゃて」

「あぁ、行こう」

 蒼月はダンブルドア校長の後をついて行く。




                  ***




「すまんのぅ。今、特待生を連れて来た所なのじゃよ。さぁ、入って

 もらえますかな?」


 ダンブルドアの言葉に驚いたホグワーツ生達だが、扉を開けて入ってきた

特待生であろう人物を見て、皆はさらに驚いた。髪と眼は闇と見間違えるか

のような漆黒、中世的な面持ち、そして、妖しの気配。人間とは思えぬよう

な美貌。良く言えば神に最も近い者。悪く言えば、悪魔を魅了した堕天使。


「始めまして。私はソウゲツ・シンジョウ。見ての通り東洋人だ」


 それだけ言うと、ローブを翻して椅子に座り組み分け帽子を被る。


(もうちょっと、愛想良くしてくれても良いと思うのじゃが…(汗))




―――お久しぶりですな

―――あぁ

―――貴方様の寮は決まっておりますよ

―――これからよろしくな

―――はい。それでは…




『スリザリン!!』



わぁぁぁああああぁぁぁぁあああぁぁああああ!!!





「………うるさい」


 蒼月はボソリと言うと、一番近くに居たダンブルドアはサッと蒼くなる。


「さ、さて、一番大事なことを言っておこうかの。蒼月は特待生じゃ。

 じゃから、皆と授業は違う。じゃが、魔法薬と闇の魔術に対する防衛術と

 占い学は同じじゃ。さて宴を始めようか」


 ダンブルドアは新任教師の名前を紹介してさっさと料理を出した。蒼月は

スリザリンの机に行かず、ダンブルドアと新任教師のアンブリッジの

間に座った。

そこにはすでに椅子が用意してあり、その椅子は校長であるダンブルドアの

椅子よりも立派だった。蒼月は椅子に座ると、まず、隣に居るアンブリッジ

に分かるように嫌な表情をしたが、すぐにアンブリッジという存在も居ない

かのように自然にダンブルドアの方を向いて微笑む。その笑みはどこか裏が

ありそうな笑みだったと、ダンブルドアの反対隣に座っていたマクゴナガル

は言う。


「あぁ、美味しそうな食事だな。洋食を食べるのは久しぶりだよ」

〈エヘンエヘン〉

「喜んで頂いて何よりじゃ」〈エヘンエヘン〉


 二人が話している途中途中にアンブリッジがワザとらしい咳払いを入れ

る。だが、二人はそれを軽く無視して会話を進める。生徒達は食べながらで

はあるが、行く末を見ている。

ある者は、食事をせずにボーッと見ている。ある者はアンブリッジを

睨んでいる。


(アルバス、流石にウザイんだけど?)

(うむ。わしもちっとばかしイライラするの)

((締めるか))<こえーよ;

〈エヘンエヘン〉


 アンブリッジが無視され続けたのに対して少しばかり怒りを感じているよ

うだ。声が微妙にだが大きくなる。



プチン



 蒼月の堪忍袋の緒が切れた。蒼月はアンブリッジに分からぬように、日本

語で紫亜と紫乃を呼ぶ。紫亜と紫乃は蒼月の考えがすぐに分かり、二人は刀

を何処からか出してアンブリッジの首元で刀を交差させる。


「動かないで欲しいです~」

「もし何かしたら、一気にいきますよ~」<こえーよお前ら…

「な、なんですの。この子達はっ」


 アンブリッジが言葉を発したと同時に刀がアンブリッジの首に少し

食い込む。


「何って、私の式ですよ。いくら貴方でも知っているでしょう? 

 あまり煩いので静かにさせて殺ろうと思いまして(ニッコリ)」<黒っ

「なっ!(なんだか、字の変換が可笑しい様な気が…)」

「動かないで下さい」

「主様に何かしたら許さないですよ?」


 紫亜と紫乃は、ノクターン横丁に行った時と同じ顔をしていた。


「アンブリッジ殿。これは忠告です。もし、私の目の前で卑劣な事を

 したら、ただでは済みませんよ?もちろん、私の見てない所でも同じ事

 ですけどね。それじゃ、失礼」


蒼月はナプキンで口元を拭いて、椅子から立ち上がった。それと同時に、

紫亜と紫乃は風と共にその場から消えた。蒼月がアンブリッジから背を向け

た途端、アンブリッジは杖を構えてそれを蒼月に向けた。その光景を見てい

た生徒達は息を呑む。もちろん、先生方も。だけど、ダンブルドアだけは

ニコニコと笑っていた。蒼月はそのまま扉へと向かう。蒼月が広間の

中央まで来た瞬間、アンブリッジの杖が業火を噴いた。その炎は真っ直ぐ

蒼月へと向かう。女子生徒はキャーと悲鳴を上げて眼をふさぐ。炎が蒼月に

あと一メートルで当たるという瞬間、炎は火の壁によって阻まれた。その火

はアンブリッジが放ったものとは比べ物にはならない程、大きく、美しかっ

た。火が消えると、そこには蒼月と九狐が立って居た。


「我が主を背後から襲うなど、なんと卑怯な事か。我が直々に殺して

 やろうぞ」


 九狐の目には怒りの火が燃えていた。九狐が今にもアンブリッジを殺しそ

うな殺気を発している。蒼月はそのまま殺してもいいのだが、ここにはまだ

幼い子供が居る。

ので、仕方なく九狐を止める<子供が居なかったら良いのかよ

因みに、これからは『』が日本語、「」が英語となります。


『九狐、止せ』

『何故止めるのです。あの人間は主を殺そうとしたのですよ?』

『此処には子が居る。それに、殺るなら私が直々に手を下す。戻れ、九狐』

『承知しました』


 九狐は渋々その場から消える。ふぅとため息を吐いて、蒼月は

アンブリッジを睨み上げる。その視線は鋭く、冷たいものだった。


「この場に子供が居たことに感謝するのだな。次は無い。それと、

 コーネリウスに伝えておけ。Mr ロウヤが帰ってきたと。忘れるな、

 次は無い。私をあまり怒らせないのが利口な考えだ。早死にしたければ

 いつでも私のところに来い。最高級の苦しみを与えて、

 最後に―――殺してやる」




パタンッ




 その後の広間は静けさで満たされていた。だが、ダンブルドアだけは嬉々

として食事を取っていたと先生方は語る(アンブリッジ以外)






























05/04/05 修正済


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